資金調達・資金繰りの基礎知識

IPOまでの資本政策

創業時においては、創業者(主たる出資者かつ設立後の会社の代表者であることが一般的です。)の自己資金のみが出資金となる場合がほとんどです。その他に、家族や友人が出資の一部を引き受けてくれたり、稀なケースですが、当初からベンチャー・キャピタルが出資を引き受けてくれることもあります。それ以外の必要資金は、公的金融機関等の創業支援融資等の制度を活用して、低金利で借入れを行うことが一般的であり、かつ望ましいといえます。

のれん分け等により創業以前の勤務先の顧客を円滑に移行させることができた場合には、創業直後から売上があり、事業の期間損益が黒字となることもあります。しかし、多くの場合は、店舗・事務所の賃料、広告宣伝費、研究開発費、事務員の人件費等の費用を上回る売上を確保することができず、事業の期間損益は赤字が続きます。事業の期間損益が黒字化し、累積損失が底を打つ地点を含む前後の耐乏期は「死の谷」(Death Valley)と呼ばれます。この死の谷を乗り越えられず、廃業に至ってしまう事業者も少なくありません。

死の谷を乗り越えるための資金調達の手段として、[1]普通株式による新株発行(募集株式の発行等)、[2]配当優先株式(種類株式)による新株発行、[3]転換社債型新株予約権付社債(Convertible Bond/CB)の発行、[4]社債(少人数私募債を含む。)の発行、[5]消費貸借による借入れ、等があります。各手段の優劣は、株式の発行価額や利率等によることになるため、慎重に手段を選択し、条件を決定する必要があります。

なお、IPOを目指すベンチャー企業では、死の谷を乗り越える前に、企業業績の向上へのインセンティブ強化の手段をしてストックオプションを役職員に対して付与することがあります。しかし、ストックオプションは通常無償発行され資金調達の意義はないこと、第三者からの株式による資金調達を阻害する要因となることから、死の谷を越える前にストックオプションを付与することは、一般論としては望ましくないといえます。

死の谷を乗り越えれば、その後の資金調達は比較的容易に行うことができます。IPOのタイミングを見ながら、種類株式の普通株式への転換や経営者からの借入れの返済などを進めることになります。

IPOまでの期間損益、累積損益、現預金額の変動イメージ

IPOまでの期間損益、累積損益、現預金額の変動イメージ
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