労働問題等の基礎知識

解雇権濫用の法理

日本の企業において労働者を雇用する場合、「期間の定めのない労働契約」が一般的です。平成15年に労働基準法において解雇権濫用の法理が法制化される以前、期間のない労働契約を締結した労働者の解雇については、労働基準法19条の業務上傷病中及びその後30日、並びに産前産後の解雇制限、並びに同法20条の30日前の解雇予告又は予告手当ての手続的制限を除き、法令上、解雇事由の制約がありませんでした。 しかし、労働者は日々の労働から得る賃金により生活を営んでおり、解雇を使用者の自由と解することは、労働者の利益保護の観点から容認できないことです。そのため、多くの裁判が争われ、下表の日本食塩製造事件や高知放送事件において判例上、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない限り場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」という解雇権濫用の法理が確立され、平成15年には同法理が法制化されました。

最高裁判例における事案の蓄積による解雇権濫用の法理の定式化

  • 日本食塩製造事件(最判昭和50年4月25日民集29巻4号456頁)
  • 高知放送事件(最判昭和52年1月31日労判268号17頁)

労働基準法18条の2における法制化(平成15年。その後、労働契約法16条に承継)

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない限り場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 しかし、解雇権濫用の法理にかかわらず、現実には、社長や上司が気に入らない等の感情的な理由により従業員の解雇を行っている例があり、特に中小企業においてはこのような事例が多いと仄聞します。


法律上無効な解雇を行っていた場合、過去2年間に遡って、賃金の支払を労働者から請求される可能性があるほか、従業員の地位の確認の訴えの中で、将来分の賃金の支払を和解案として求められる可能性があるので、十分にご注意下さい。

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